――前回の『100ワニ』は、連載が終了した2020年3月20日、最終話の投稿が「いいね数」200万以上、エンゲージメントが2億を超える大反響を呼びました。と同時に、最終回直後に、映画化をはじめとする展開が発表されたことをきっかけに、予期せぬ形で炎上に発展してしまったんですよね。とはいえ、同年4月に発売された書籍は累計35万部を突破しました。

  当時、見てくださる方々からは「『100ワニ』の続編を読みたいです」との声も多数届いていましたので、いつかはワニのマンガの続編を読んでいただけたらいいな、との思いも心のどこかにはありました。

 しかしその一方で、当時、SNSやネット上で全くの事実無根のフェイクニュースが飛びかい、「マンガを描いて、なんでこんなに言われるんだろう」というやるせなさも大きかったんです。

 今、思えば当時、しっかりと事実に反することは強く否定するコメントを出すべきだったと思っています。

 前回のワニのマンガは、自分ひとりで始めましたが、こうした事情もあり続編は、出版社さんの編集者さんのほうからオファーをいただかなかったら、たぶん描くことはなかったと思います。


――編集者と話すうちに、決意されたんですね。

 当時から「ネズミのその後を描くとしたら、こんなふうに形にしたいな」という構想は自分の中にあったので、編集者の方々の意見も取り入れつつ、すんなりと描き始めることができました。


――新連載で、きくちさんが伝えたいと思っていることを教えてください。

 100日後を迎えたあの日から月日が経った新たな100日間の世界を描いています。「終わらせるべきことを終わらせて前に進もう」というメッセージを込めた作品です。ネズミとワニとその仲間たちの生き方を見てくださるとうれしいです。

 前回のワニのマンガでネズミが経験したのは「終わらないと思っていたけど、急にどんなことにも終わりが来る」ということでした。今回は「終わり」に対する意識が変わり、ワニの“衝撃の一日”、事故の一件を機に、それぞれのキャラクターたちがどう生きていくのか、見守ってほしいです。ワニが死んだのか? の真相も明かされていきます。