●電話で「逃げる場所ない」

 「どうか生きていて」。能登半島を襲った豪雨で4人が安否不明となった輪島市久手川(ふてがわ)町では22日、消防による捜索活動が行われ、家族が祈るように見守った。塚田川が氾濫し、家ごと押し流されたとみられる輪島中3年の喜三翼音(きそはのん)さん(14)の父鷹也(たかや)さん(42)は「早く会いたい。抱きしめたい」と声を絞り出した。

 21日は普段通りの朝だった。長男の翔杏(しあん)さん(13)がサッカーの練習試合で外出し、鷹也さんは午前7時半に勤務先の製材所へ。妻の紗菜(さな)さん(25)と次女の桜音(みおん)ちゃん(1)は保育所の行事に出掛け、塚田川沿いの家に残ったのは2階の自室で寝ていた翼音さんだけだった。