鈴木コーチは20年の現役生活で228盗塁。通算成功率は.8290と抜群の高さを誇った。特に勝負を賭けた場面で代走に起用され、一発で成功させて試合の局面を大きく動かす様はまさに「スペシャリスト」だった。鈴木尚広の名を告げられた時点で、今の大谷と同様、相手投手も「諦めの境地」だったかもしれないが……。

「僕の場合は代走が多いので、どちらかというと徹底マークされていました(笑)。大谷選手と現役時代の僕とでは求められるところは全く違いますから、あくまで想像ですが、これだけ試合に出て50盗塁以上の数字を重ねられるのは、とにかく頭の良さ、思考の高さが一番の理由なのだと思います。投手一人一人のモーションの何かをキャッチする洞察力があるし、それを体に落とし込む能力もある。そう考えると彼にとっては必然の50で、偶然の50ではない。決めるべくして決めていると思いますね」