体長約1mm以下という、このごく小さな生きものたちは、さまざまな極限的環境で生き延びることができる。たとえば、宇宙の真空や、火山の火口のなか、あるいは、南極で30年にわたって凍りついていたあとでさえ、卵を産むなど通常の機能を回復させた例もある。

だが、イギリスで行われ、「アストロバイオロジー(Astrobiology)」誌に2021年7月21日付で掲載されたある研究によれば、不死身に思える緩歩動物にも限界があるという。

ケント大学の研究チームが実施したこの研究では、緩歩動物を弾丸につめこんで、さまざまな速度でライトガスガン(水素やヘリウムなどの軽ガスを使い、物理実験で使う非常に高速な飛翔体を生成する装置)から発射し、その結果として生じる衝突の圧力を生き延びられるか否かを調べた(真空チャンバー内で、約50cm離れた砂袋めがけて射出した)。

この研究の共著者で、現在はクイーン・メアリー大学に所属する宇宙化学者アレハンドラ・トラスパス(Alejandra Traspas)によれば、秒速900m(およそ時速3240km)が限界で、緩歩動物がその後、回復する可能性もあるという。だが、それよりも速くなると生き延びられなかったという(なお、秒速900mというのは、平均的な銃弾よりも速いスピードだ)。

秒速900mより速く射出されると、衝突時に最低1.14GPa(ギガパスカル)の圧力を経験することになる。

「(1.14GPaを超えると)彼らはつぶれてしまう」とトラスパスはサイエンス(Science)誌に話した。
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