安楽死の合法化を支持する人は、「厳格に運用されているので、本人が希望していない安楽死は起きていない」と言います。

しかし、本人が希望していない「非自発的な安楽死」を強いる事態が生じることを、滑り坂論と言いますが、滑り坂は起きてしまうのです。

日本では、忖度(そんたく)文化が根強い。 家族や社会に迷惑をかけたくない、という思いが強いのが特徴です。
言い換えると、本人の意思、希望が見えにくい。日本で安楽死を認めようとしたら一番心配されるのがこの点です。

超高齢社会の日本でこの先、十分な年金や介護を受けられるのか。
疑問を持つお年寄りらが追い詰められ、仕方なく「こうしたほうがいいんだよね、私」と形だけの「自己決定」をするのでは、と懸念されます。

このような決め方は、自発的な意思決定とはいえません。
「死ぬ権利」が「死ぬ義務」へと転換しないようにしなければなりません。