「無知だった」。個人情報を盾に脅迫され、特殊詐欺の受け子や出し子の「闇バイト」を命じられた愛知県内の少年(18)は今も自分を責め続ける。オンラインゲームの課金の支払いに窮し、交流サイト(SNS)で見つけた「高額融資」の投稿を軽い気持ちでクリックしたのが転落の始まりだった。

当時は工業高校を中退し、倉庫作業などアルバイトを転々としていた。将来が見えず、ドラゴンボールのオンラインゲームにのめり込んでいた。

課金を重ね、月に4万〜5万円のクレジットカード料金の支払いに追われるように。すでに母親に40万円近く肩代わりしてもらっており、これ以上は頼めない。「バイトのシフトを増やしても間に合わない」。追い詰められてXやインスタグラムで「個人融資」「高額融資」などと検索。当時は課金の返済しか頭になかった。

家庭裁判所で少年審判を受け、少年院で約5カ月間を過ごした少年。「ニュースを見ておらず世の中の情報にうとかった。あやしいものだと思わなかった」と自らの無思慮を悔いる日々だ。面会に来た母親は「相談に乗ってやれず、一人にした」と泣いた。