「出張して治療に参加したことに…」

 科長は面談後の19年5月20日に同医師にメールを送信。直近5年間に同科で行ったIVR症例が約60例あるとした上で、

「これらの症例を私の指導下でM先生(=男性脳外科医)が術者として実施した、あるいは第1助手として施術に参加したという扱いで、血管内治療専門資格受験に必要な症例数に加えてもらう案はいかがでしょうか」
「受験条件に必要な100症例数は余裕で超えると思います」

などと症例実績の付け替えを提案した。

 さらに、

「私と以前から交流があって、本院でIVR症例の実施がある時々に、滋賀から本院に出張して来て治療に参加していたとすれば不自然はない」
「受験願書提出に際して各受験者の個々の提示症例を、認定委員会の方はそこまで詳しい実情まで監査していません」

などと具体的な手口まで指南した。

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男性脳外科医が自らメールを証拠提出

 このメールが送られた翌々月、同医師は赤穂市民病院へ転職。その後に関わった手術で8件の医療事故が起きた。その中にはカテーテルを使った血管内治療も含まれ、院長は20年3月に手術禁止を命令。同医師は21年3月に専門医試験の受験を学会に出願したが、学会から求められた赤穂市民病院における手術経験の証明書を期限までに提出できず受験を断念。同年8月に依願退職した。

ps://www.ako-minpo.jp/smp/news_18386.html