(CNN) 昨年は世界の平均気温が観測史上最高を記録し、海水温は急上昇、氷河の融解も驚異的な水準で進行した。科学者らはその正確な理由の究明を急いでいる。

常軌を逸した高温が多くの要因によってもたらされたことは分かっている。主なものは化石燃料の燃焼とエルニーニョ現象に伴う地球規模での温暖化だ。しかしそれらだけでは、これまでにない急速な気温上昇の説明がつかない。

5日刊行のサイエンス誌に掲載された新たな論文では、この謎を解くための鍵を突き止めた。それは空に浮かぶ雲だ。

より具体的に言うと、急速な温暖化に一段の拍車がかかったのは、海上の低い位置に発生する雲の不足が原因だったと研究報告は指摘する。これは将来の温暖化にとっても懸念をもたらし得る内容となっている。

簡単に言ってしまえば、明るい色をした下層の雲の減少は、地球が「黒っぽくなった」ことを意味する。それによってより多くの太陽光が吸収されると、報告の著者のヘルガ・ゲスリング氏は説明する。同氏はアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)に所属する気候物理学者。

この現象は「アルベド」と呼ばれ、太陽の光を地球が反射する割合を指す。

報告によれば、地球のアルベドは1970年代以降減少し続けている。原因の一端として、明るい色の雪や海氷が融解していることが挙げられる。比較的暗い色の地面や水が表面に現れれば、吸収される太陽エネルギーは増加し、地球の温暖化が進む。

下層雲も太陽光を反射するので、アルベドの効果に寄与する。

科学者らが米航空宇宙局(NASA)の衛星データや気象データ、気候モデルを詳しく分析したところ、下層雲の減少によって昨年の地球のアルベドが記録的水準にまで低下していたことが分かった。北大西洋の一部をはじめとする海域では、特に落ち込みが顕著だったという。