〈重要な要素が切り抜き動画だ。第三者が動画の一部を自由に切り抜いて編集、投稿したもの。今夏の都知事選で急激に人気を集めた石丸伸二候補の躍進や兵庫県知事選での斎藤元彦氏の再選の一因に挙げられている。

「衆院選では、この切り抜き職人と呼ばれる人たちが玉木さんに集まった。そのために大量に玉木さんの動画が出回りました」(ネットコミュニケーション研究所中村佳美代表)〉

〈この切り抜き動画は、動画サイトのシステムによって拡散される。ある動画を見て「いいね」を押す、もしくは長く見続ける。すると、それをシステムが検知してその動画に関連した別の動画を表示する。「おすすめ」の仕組みだ。この仕組みがうまく働いた可能性があると選挙ドットコムの高畑卓代表は言う。

「もともと玉木さん自身の動画ストックも多いうえ、切り抜き動画が大量に増えた。そうなると、玉木さん動画に『いいね』を押したら、その後はエコーチェンバー(反響室、繰り返し関連動画が表示され続けること)となって、抜け出せない。そうやって大量に玉木さんの動画を見ることになった人が多いと思います」〉

〈問題もある。切り抜き動画は玉木のファンでもなく、単に自らの収益のためとみられるアカウントが多いことだ。高畑が言う。

「石丸さんの切り抜きをしていたアカウントの中には、ひと月で500万円以上稼いだ人がいます。切り抜き職人の多くはその時バズる人のところに集まるだけ。収益目的で選挙活動に乗っかってくる切り抜き職人をどう考えるべきか。今後議論もあるかもしれません」