松井氏は「今の野球見ててストレスたまらないですか?」と語りかけると、イチロー氏は「たまる、たまる」と勢いよく答えた。同氏は「目で見える情報がインプットされて、ある意味では『洗脳』されてしまう。選手のメンタルはデータに反映されないわけだけど、それを一緒くたにしてしまうので、見えないことで大事なことはいっぱいあるのになって。危ないよね、この流れは。怖いのは日本は何年か遅れで追っていくので、それがまた怖いです」と、現代野球に疑問を呈した。

 イチロー氏は、松井氏とのやりとり以外でもデータ野球に警鐘を鳴らした。インタビューでは「(データ野球で)失うものがあるとしたら?」という問いに、「感性ですよ。目で見えてるものしか信じられなくなる。何マイル以上なら何%の割合でヒットが出るってなっていくんですよ。でもそうじゃない技術がある。とにかく見えるものしか評価しないというのは、危険ですね」と語った。

 同氏は19年3月の引退会見でも「野球は頭を使わなきゃできない競技なんですよ。でもそうじゃなくなってきているのが、どうも気持ち悪くて。日本がアメリカの野球に追従する必要なんか全くない」と話していた。