創業から80年、販売台数世界一の自動車メーカーにまで登りつめたトヨタが倒れれば、これまでにない規模の人数が働く場所を失う。家族も含めれば、のべ500万人以上の家計は一気に困窮を極めるだろう。

生活が脅かされるのは、工場の従業員だけではない。彼らが暮らしていた街も、工場が撤退すればすぐさま経済活動は縮小していく。

たとえば従業員を乗せ、工場まで巡行していた地域バスはなくなり、バス会社が潰れれば、その従業員と家族にもトヨタ社員と同様の運命が待つ。そして近隣の飲食店にスーパーマーケット、病院や福祉施設に従事していた人たちも早晩、生活の糧を失っていくことになるだろう。

完全に経済循環を失った街には失業者があふれかえり、やがて人が住むことのできないゴーストタウンと化していく。

現在の自動車業界の国内経済規模はおよそ52兆円で、そのシェアの半分を握っているのがトヨタだ。関連企業への影響を考えると、少なくとも日本のGDPは20兆円以上、4%も縮小することになる。

もちろん、先述のように工場周辺の雇用環境の悪化も含めると、経済損失はそれだけにとどまらない。トヨタという巨人が沈むことによって、取り返しのつかないダメージを日本は負うことになるのだ。

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これが現実