親としてのやり切れない思いが溢れていた。

「一平は仕事はちゃんとした。でも、いなくなって良かったって思っている人のほうが多い。ごまんといるよ。
いなくなったから(ワールドシリーズを)優勝できた、(大谷は)ここまで来たっていう人はいっぱいいるよ」

 かつては大谷の隣でスポットライトを浴びる息子の姿を誇らしく感じていたが、今やその存在意義すらも否定するまで自己嫌悪に陥った父。
少し沈黙があった後、英政が突然、こんな意味深な発言をした。

「多分、答えが出ないんじゃないかな。あなたの今の調べ方だったら。見ているところが(俺と)違うと思う。一平のことを調べても、あなたがわかっていることぐらいしか出てこない」

 そしてこう問いかけてきた。

「もっと翔平を調べたらいいんじゃない? 翔平の性格を。彼のことわかんないでしょ? 俺はもちろん知ってる。ただ、俺の口からは言えない。俺のことじゃないから」

 英政が帰宅する時間も迫っていた。

「色々と一平のことをメディアに書かれたけど、書かれたことは100%本当ではないっていうのは言っておく。
違うことがいくつかあります。なんでこういうふうになったんだって。一平個人のあれだから、俺もこれ以上は喋れない。まあゆっくり考えて」

 そう言い残して英政は車にエンジンをかけ、走り去っていった。