阿部監督の取材で、甲斐に関する話をした中で印象に残った言葉があった。
「彼は勝っているからね。そういう経験もこのチームには大事だと思います」

昨年の主戦3捕手の中でベテランの小林が入団したのは、最後に日本一となった12年の翌13年のドラフトでのことだった。
3人の捕手の誰もが、日本一の経験はない。最後まで勝ち切った経験がない捕手たちだったのである。

「今年は甲斐を主戦で行きます。それは決めています。彼を休ませるときに、他のキャッチャーを起用する。それでいきます」
改めて捕手の起用方針を聞くと阿部監督ははっきりとこう語った。

甲斐の獲得は日本一奪回、勝ち切るための切り札としてであったことは間違いない。