格安ステーキチェーン店「いきなり!ステーキ」が直営の全店舗に対し、「料理用ビニール手袋は片手だけ着用して調理するように」という指令を下していたことが「 週刊文春 」の取材でわかった。

近年、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは業績不振にあえいでいる。

 1号店のオープンは2013年。立ち食い格安ステーキという業態がヒットし、数年で全国に約500店舗を構えるまでに急成長を遂げた。しかし、過剰出店で2019年には営業赤字に転落。さらにコロナ禍が追い打ちをかけて3期連続の赤字に陥った。

「2020年には別業態の『ペッパーランチ』の売却、不採算店舗の閉店、希望退職者募集とリストラを敢行。215店舗まで規模を縮小しました。2022年12月期は売上高が前期比11.1%減の168億4100万円、営業損失を1億6500万円と予想しています」(経済誌デスク)

同社を巡っては、小誌が今年 2月10日号 で「いきなりステーキ」の商標権を取引先企業に“担保”として移転していたことを報じている。

 そんな苦境の「いきなり!ステーキ」で、“手袋は片手だけ令”がいきなり下されたのは2021年9月のこと。現役アルバイトが戸惑い気味にこう漏らす。

「(片手だけに着用する)理由は『手袋の価格が高騰したから』。経費削減とはいえ、不便ですよ……」

2018年から2022年まで勤務したペッパーフードの元社員Aさんもこう語る。

「衛生上、手袋をしていない手で食材は触れない。当然、片手だと時間がかかります。マニュアルでは『ランチは10分、夜は15分で提供すること』とありますが片手では無理。だから私はやむを得ずピーク時は両手に手袋をしていました」

 すると――。