ベンチの最前列で声をからした。今季、誰よりも打席で存在感を放ってきた村上が、延長12回までナインを鼓舞。引き分けに終わり、出場機会もなかったが、3冠王の大記録をほぼ手中に収めた。

 2日のスタメン発表で名前がアナウンスされず、甲子園のスタンドがどよめいた。3冠と日本選手最多の56号への周囲の期待に対し、優勝会見で「押しつぶされるくらいプレッシャーをかけてもらいたい。そこに挑戦できるのは、今は僕しかいない」と語っていたが55号以降は13試合、57打席ノーアーチ。その間は44打数5安打で打率・114だった。8月6日に「特例2022」で出場選手登録を外れた以外は「4番・三塁」で先発出場を続けてきた主砲がベンチスタートとなった。

 試合後、高津監督は「彼も人の子で、やっぱりしんどいからね。しっかりと状態を調整してあげないといけないと思って、今日は(スタメンから)外しました」と説明した。中日・大島との打率争いさえ制すれば手にできる3冠王の称号。練習ではいつも通り、打撃練習とノックもこなしたが、打率争いだけでなくリフレッシュの意味もあってスタメンを外れた。大島は広島戦で4打数1安打で、打率・314で先にシーズンを終了。村上は打率・317、55本塁打、132打点の3部門でトップをキープし、04年の松中以来の3冠王が確実となった。