ドラゴンクエストに出会った時から気になっていたこと。なぜ「ひのきのぼう」は、ただの「ぼう」ではなく「ひのき」なの?

30周年という節目の年、生みの親である堀井雄二さんに、長年の疑問をぶつけてみると……「絶対、ひのきのぼうなんです」。
返ってきたのは明快な答え。最弱アイテムの名前には、初代から11作目となる新作「XI」まで守り続けてきた「ドラクエ精神」が込められていました。

「ひのき」は、家具などでは高級な材料として知られていますが、武器としては、マイナーな木材です。木刀で一般的な木材はカシです。
なぜ、「ひのきのぼう」なのか? 堀井さんは「音ですね」と、そのアイテム名に込めた思いを教えてくれました。

「『ひのき』って一つの単語じゃないですか。すぐにわかる。もう絶対、ひのきしかないって思いました」

当時、剣(つるぎ)や、こんぼうの他に、弱い武器を考えていたという堀井さん。
「ただの棒じゃだめ。でも『かしのぼう』だと、お菓子みたい。それに『かし』って言われても平仮名だと何だかわかんない」
初期のドラクエは、使えるデータ量(メモリー)が少なかったため、まだ漢字は使えませんでした。そんな中、名前を決める際、大事だったのが平仮名にした場合の伝わり方でした。

今とは考えられない開発条件の中、最弱のアイテムだと「一目でわかる」名前が「ひのきのぼう」だったのです。

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