例えば、トマトソースをぶちまけたらこんな風になるのだろうか。
飛び散って、俺の顔に浴びせられた生温い液体は正真正銘の鮮血だった。
目の前で消えてしまった命に、全身から血の気が引いていく。

「助けに来たっすよ、先生」
その朗らかな声も、眩しい笑顔も、見覚えがあった。
信じたくない。もう俺の知っているあいつじゃない、変わり果てた化け物がそこにいる。
差し伸べられた手には、どす黒い赤色がべったりと付着していた。

「…んで……わろ…て……」
「え?」

お前が浴びた返り血は、全てお前の手で作り出したというのに。
なんで笑ってるんだ? お前がやったことは、

「ッ、ひ、と…ごろ…し……」