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京都大発スタートアップアトミス 新エネルギーの流通を変える「ジャングルジム」
アトミスは穴をナノレベルで規則正しく並べる設計技術を持つため、ガス分子は容器内できちんと整列。ガスを圧縮して貯蔵できる。コンパクトだが、従来と同じ7立方メートルのガスを閉じ込められる。
多様な価値が期待される多孔性配位高分子だが、これまで実用化に至らなかったのは、製造コストが高く、量産化が難しかったのが理由だ。
高分子の合成には液相合成法を使うのが一般的で、溶媒の価格が高いことから、1キロあたり1000万円~1億円かかっていた。
同社は「固相合成法」という独自の合成方法を開発し、1キロ当たり数千円という低コストでの量産化を確立している。
従来のガスボンベは長さ150cm、横25cmの円筒形だが、キュビタンは29cm角とコンパクト。重さは約5分の1の13kgでというからかなり小さく軽い。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製で、圧力をかけると中に封入した粒状のMOFの穴にガスの気体分子が入り込む。
アトミスにとってガスサービスは一里塚にすぎない。見据えるのは水素社会だ。
政府は水素供給インフラの整備に動きだしているが、都市部は水素化できても、それが地方まで及ぶかは未知数だ。
コンパクトに水素を貯蔵できるボンベ容器を流通させることができれば、脱炭素の機運を地方でも起こせる。
アトミスは30年をめどにこれまでより水素を4~5倍高密度に閉じ込められるMOFを開発。都市と地方の脱炭素エネルギー格差の解消に挑む。