「いや、山本君のは結果論というやつだ。いくら結果がよかつたといつて、統制をやぶつたという事実にかわりはないのだ。――いいか、諸君、野球は、ただ勝てばいいのじやないぜ。特に學生野球は、からだをつくると同時に精神をきたえるためのものだ。團体競技として共同の精神を養成するためのものだ。自分勝手なわがままは許されない。ギセイの精神のわからない人間は、社會へ出たつて、社會を益することはできはしないぞ。それに実際問題としても、あのとき星野君の打つた球のおかげで、ダブル・プレイでも食つたとしたら、どうなつたと思う。ワンヒット・ワンランのチャンスもないのに、あの場あいヒッティングに出るなんて、危險きわまるプレイといわなければなるまい。」

たしかに