北海道札幌市の手稲山で1月中旬、登山をしていた40代男性から「道がわからなくなった。足がつって動けない」と、消防に救助要請が入りました。男性は前日から単独で入山しており、「ビバークの装備はある」と話していましたが、その後、携帯電話は通じなくなりました。通報を受けて、警察と消防は4日間にわたって捜索を行ないましたが発見できず、捜索は打ち切られました。

 それからおよそ3ヶ月後の4月下旬、雪解けに伴い再捜索をしていた道警ヘリが、手稲山の標高約450メートル地点で、性別不明の遺体を発見しました。そばにはザックがあり、遺体の一部は白骨化していましたが、DNA型鑑定の結果、捜索していた男性と判明しました。 

 山に登れば、誰もが多かれ少なかれ、道に迷うものだ。しかし、注意していれば間もなくルートを外れたことに気づき、引き返すことで正しいルートに戻ることができる。「山で道に迷ったら引き返せ」というのは登山の鉄則であり、登山者なら誰もが知っていることであろう。だが、ある程度の経験を積んだ登山者でも、それがなかなか実行できない。ルートを外れれば、どこかの時点で必ず気づくはずなのだが、そこで行動を停止せず、さらに先へと進んでしまう。これが道迷い遭難に陥る典型的なパターンだ。