婚姻に準ずる事実婚(内縁)カップルに支給される扶養手当を同性カップルに認めない北海道の制度は法の下の平等を定めた憲法に反するとして、元道職員が道と地方職員共済組合(本部・東京都)に約483万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(右田晃一裁判長)は11日、原告側の請求を棄却した。

 同性パートナーが被扶養者と認められるかが争われた初の訴訟だった。

 原告は札幌市の佐々木カヲルさん(54)。訴状などによると、佐々木さんは道職員だった2018年7月、パートナーの女性と同居を開始。扶養手当の支給を申請したが、認められず、精神的苦痛を受けたとして19年6月に退職した。

 道職員の給与条例などは、扶養手当の支給対象に「事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」と規定している。

 佐々木さんは、性的少数者のカップルを公的に認定する札幌市の制度に基づいて「パートナーシップ宣誓」をし、パートナーと生計も同一にしていたことから「内縁関係にあった」と主張。同性であることを理由に支給を認めないのは、性的指向に基づいた合理的理由のない差別に当たり、憲法14条に反すると訴えていた。

 一方、道側は、内縁関係にあれば扶養手当を支給する制度は男女間のカップルを想定しており、同性パートナーは被扶養者に当たらないとして、請求棄却を求めていた。