今だから明かせますが、僕のプロ野球人生は「謝罪」から始まりました。16年秋に阪神からドラフト1位指名された時、会場にいた観客の反応は「えー!?」と後ろ向きな悲鳴でした。プロ野球選手になるという夢がかなった瞬間なのに、本当にショックでした。親や家族も傷つけてしまって「自分に力がないからだ。有名じゃないからだ」と情けなくて…。ある雑誌の阪神ドラフト採点は50点で「史上最悪」とまで書かれました。知り合いに同期入団組の連絡先を聞いて「オレのせいでこんな言われ方してごめん」と謝り倒した悔しさは今も忘れません。

まだプロで1試合も戦っていない選手に、もう僕のような思いは絶対にしてほしくない。2度とあんな“事件”が起こらないように、自分が評価を覆して見返すんだ-。他の選手にはないモチベーションが、今季も僕を支えてくれました。今では自分の名前が入った赤タオルを掲げてくれるファンの方々も増えました。応援してくれる方々のためにも優勝できて本当に良かった。岡田監督はもちろん、大卒なのに1年目に「半年間しっかり体を作れ」と将来を考えてくれた金本監督、実績もないのに4番で使い続けてくれた矢野監督にも感謝しかありません。

「阪神の4番」は活躍したらすごく盛り上げてもらえるけど、翌日に打てなければたたかれる宿命です。以前は気持ちのコントロールに難しさを感じていました。記事を見て「うわっ」と影響されてしまったり…。今はSNSもやめて情報を目にしないことで、感情の浮き沈みを少なくできています。何よりいい結果でも悪い結果でも普段通りに接してくれる妻と猫2匹に助けられて、打てなくてもエラーしても引きずらずに済むようになりました。

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