2安打とも、打てないとされていた速い球だった。速球への対応に苦しんでメジャーに定着できず帰国の道を選び、日本への再適応を期したイースタン・リーグでも6試合で17打数3安打。長打はゼロで、直球に差し込まれる打席が目立った。そうした報告をスコアラーから受けていたヤクルト側は、久しぶりに間近で見た筒香に「ずいぶんやせて雰囲気が変わっちゃったな」とさらに警戒感を弱め、試合前の打撃練習をベンチからチェックする姿さえなかった。

偵察に訪れた他球団スコアラーは「米国から帰ってきた選手にありがちだが、速い球に遅れないようにして、スイングに入るときのタメ≠ェなくなっている」と酷評。さらには、筒香の全盛期を知る身内のDeNA・田代打撃コーチまで「まだ本来のスイングじゃない」と見切り発車を認めるほどの状態だったはずが、ヤクルト側の「落ちる球を拾われるのは避けたい。速い球で押すように」という狙いはものの見事に粉砕された。