コリッ
彼女「あっ…」
ドスケベザウルス「!」
ドスケベザウルスは目にも止まらぬ速さで彼女に接近する。
彼女は踵を返し逃げ出そうとするが、もう遅い。
6本の腕をもつドスケベザウルスは彼女の四肢を捉えて固く握った。
彼女「ひっ…許して…くださ…」
彼女の必の請願もドスケベザウルスには届かない。
ドスケベザウルスはにたぁ…と不気味な笑みを浮かべ、涎が彼女の顔にかかった。
彼女「あ…あ…あ」ガクガク…
彼女はふと思い出した。今日は人生で生まれて初めてのデートであったことを。
幼くして父を亡くし、母によって女手一つで育てられた彼女は、母に迷惑をかけまいとわがまま一つつくことなかった。
可愛いと思った服も、行きたかったテーマパークも我慢した。
そんな彼女に初めて好きな人ができた。
その人と一緒にいるだけで心が満たされた。
(ああ、こんな私も幸せになれるんだ…)
そう、思えるようになった。
彼女はちらりとワイの方を見る。
(ワイくん…。こんなわたしを好きになってくれてありがとう…。だいすき、だよ…)
次の瞬間、ドスケベザウルスはその大きな口を開け、彼女の頭からかぶりついた。
鮮血があたりに飛び散り、骨を噛み砕く音が静寂な夜に鳴り響く。
はじめ彼女は抵抗するように身動ぎさせたが、
すぐに動かなくなってしまった。
ドス・ケベザウルスは嬉しそうに喉を鳴らしたのだった。