1日3食は、もはや当たり前ではない?時代を象徴する「0.5食」

食のキザシを探る、本連載。今回のテーマは「0.5食」です。食ラボの調査では、1日3食きちんと食べている人は7%に過ぎないことがわかりました(※1)。また、回答者の20%は「ゆで卵だけ、バナナだけなど、単一食品を食事代わりにすることがある」(※2)と答えています。このような人は、女性20代に絞ると40%にもなります。

みなさんも心当たりがあるかもしれません。ご飯、みそ汁、おかずといった、いわゆる「1食」の食事。それには満たないものの、「1回」の食事として何となく生活に定着している「0.5食」なるもの。

それを食ラボは「次なる食のキザシ」と捉え、今回実施した食ラボ調査やヒアリング結果から実態を明らかにしていきたいと思います。
1日3食きちんと食べているのは、わずか7%

食事というと「朝昼晩で1日3食」「朝食と言えばパンに卵料理にフルーツヨーグルト」などのイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、1日3食をきっちり食べている人は7%にとどまります。

食ラボが実施したインタビューでは、下記のような言葉が聞かれました。

「以前は朝昼晩の1日3食だったが、在宅勤務になり、食べる時間も食べるものも自由になったので、バナナやゆで卵など、食事とは言いづらいちょっとしたものも含めて1日5食くらい食べるようになった」

「お昼を食べ損ねて仕事をしている時に『そろそろ栄養的に食べておくか』と思い立って、大豆バーを食べる」

いずれも彼らの食生活が、1日3食の形ではなく、自由なタイミングで簡単なものを適量食べる形になっていることがわかります。食は多様化しており、若い世代ほど、朝食にアイスクリームといった常識に捉われない実態も見られます。

下の画像は、ある20代女性の1日の生活と食事についての回答です。ここには、朝食も昼食も存在しません。最初の食事は16時で、ケーキだけの時もあるようです。そして、22時に夕飯で主食、副菜、汁物を食べています。感覚的な数え方になってしまいますが、この方は16時の食事が0.5食、22時の食事が1食、計1.5食くらいと言えるでしょうか。

このような事例は、単に「食生活が乱れている」と結論づけられるかもしれません。しかし、見方を変えると、日々忙しく過ごしている現代人の実態を表しているように思えます。良い悪いではなくこれが実態であれば、今、世の中にある飲食関連の商品やサービスでは手が届ききらないシーンが意外と多いのでは、と考えることもできるでしょう。

このような実態を踏まえて、食ラボは「食事の時間や手間を十分にかけずに食べる、ちょっとした食べ物や飲み物のこと」を「0.5食」と名付けました。そして0.5食には今の時代ならではの生活者欲求や今後の事業機会のヒントがあると考え、3年以上前から研究を進めています。
https://dentsu-ho.com/articles/8662